親の施設入所と実家のこれから…実家の片付け・管理・選択肢を徹底解説

目次

はじめに

ご家族にとって親御さんの施設入所は大きな転換期です。
同時に実家の今後についても考えなければならない局面に直面します。

(頻繁に通えない)(急いで売却や賃貸にだすつもりもない)でも、そのまま放っておくには
不安も多い…この記事では、親御さんの施設入所後に実家とどう向き合えばよいのか、
選択肢とその注意点についてまとめました。

空き家・賃貸・売却…3つの選択肢とそれぞれの注意点

空き家にする :最もトラブルが起きやすい状態

一見、現状維持のようで「空き家にしておく」という選択肢は実はリスクが高いものです。

  • 建物の老朽化が進行しやすい
  • 放火や不法侵入など防犯面での不安
  • 雑草や害虫による近隣トライブルの可能性
  • 特定空き家に指定されるリスク(税負担の増大や行政指導)

空き家にせざるを得ない場合でも、「定期的な管理」は必須です。
管理会社の利用も一つの選択肢となります。

賃貸に出す :収入を得るが、手間と管理の覚悟も必要

実家を賃貸物件にすると、施設費用の補填にもなる家賃収入が見込まれます。
ただし、次のような課題も出てきます。

  • リフォームや修繕費用の発生
  • 入居者トラブル(家賃滞納・騒音・損傷など)
  • 管理業務を委託する際の費用負担(管理手数料5~10%)

不動産会社に賃貸管理を委託することで、トラブルの対応は軽減されますが、
収支のシュミレーションをきちんと行うことが成功のカギとなります。

売却する :まとまった資金を得られるが、税金にも注意

売却はまとまった現金を得るための手段ですが、次のような点に注意が必要です。

  • 譲渡所得税、住民税の課税
  • 仲介手数料(売却価格の3%+6万円が目安)
  • 相続登記が未完了なら、名義変更手続きが必要

ただし、3.000万円特別控除や、相続空き家の特例が活用できれば、節税も可能です。
税理士や司法書士など専門家への相談を早めに行いましょう

実家の片づけについて :業者選びのポイント

実家の片づけはどこから始めるのか

親が施設に入ったあと、実家の片づけを始めようとしても、最初の一歩を踏みだすのは
想像以上に難しいものです。
不用品処分ではなく、思い出が詰まった空間を整理する作業でもあるからです。

アルバム、手紙、使い慣れた家具や食器…見た瞬間にいろいろな記憶が蘇り、
手が止まってしまうこともあるでしょう。

まずは、手を付けやすい場所から始めるのがよいでしょう。

片付けのポイント

・家族の気持ちをすり合わせる(勝手に処分はしない)
・保管、迷い、処分の3つに仕分けする
・写真を撮って記録し、思い出をデジタル保存するのも一案
・段階的に進めて、時間と心に余裕を持つ

実家の片づけは、家族の過去と未来をつなぐ大切な作業です。
思い出を大切にしながら、無理のない範囲で家族とよく話し合って、進めていくことをおすすめします。

信頼できる片付け業者を選ぶには? 選び方や費用の相場も知っておこう

自分たちだけではとても手が回らない。
遠方に住んでいて何度も通えない。

そんな時は、片付け業者に依頼するという選択肢があります。
近年は「生前整理」や「空き家片付け」など専門性を持つ業者が増えています。

業者選びのチェックポイント

・一般廃棄物処理業の許可があるか
 →無許可業者に頼むと不法投棄のリスクも

・作業内容・範囲の明記
 →運び出し、分別、清掃など何が含まれているか確認

・見積もりが明確化
 →追加料金の有無や見積書の細かさに注目

・買取やリサイクル対応の有無
 →再利用できる品があれば、費用軽減につながる

■費用の目安(間取り別)

間取り金額日数
1K~1DK30.000~80.000円半日~1日
2DK~2LDK100.000~200.000円1日~2日
3LDK以上200.000~500.000円2日~3日

※量、階層、搬出経路、エレベーターの有無などで変動します

■片付け業者に依頼する流れ

1. 複数業者から見積もりを取る(最低2~3社くらいが理想)
2. 現地見積もりに立ち会う(可能なら家族も同席)
3. 作業内容と費用、スタッフの対応を比較
4. 作業前に処分・保管の境界線を家族で再確認
信頼できる業者と出会えれば、片付けの不安は大きく軽減されます。

■業者に依頼する際の注意点

①安すぎる業者には注意
極端に安い見積もりを出す業者は、後から追加請求がある・不法投棄をする・雑な作業になる…
などのトラブルにつながる可能性があります。
安さだけでは決めず、サービス内容や信頼性を見極めましょう。

②「買取」に偏りすぎる提案にも注意
買取できる品が少ない場合、買い取り額で釣ってから後で高額な処分費を請求されるケースも
あります。見積書の内訳(買取と処分)を分けて出してもらう方が安心です。

③作業当日の立ち合いの前提にしない業者はNG
「全部任せてください」問うスタンスの業者でも、できれば家族の立ち合いが望ましいです。

④口コミ・紹介を活用する
地元で実績がある、知人の紹介があるなど、事前に評判を確認できる業者を
選びましょう。

空き家として管理する :管理業者の活用と注意点

とりあえず、実家はそのままにしておこう…そう決めたとしても、空き家の管理は放置できません。
換気、郵便物の回収、庭の手入れ、防犯対策等々…すべて自分たちで行うのは距離的・時間的に難しい
という人も多いはず。そんなときの選択肢となるのが、『空き家管理』の専門サービスです。

■自分たちで管理する場合の基本項目
・定期的な通風・換気(月1回以上が理想)
・室内の簡易清掃
・郵便物の回収・防犯対策
・庭木や雑草の手入れ
・(空き家の状態が長期間に及ぶ場合)雨樋やコーキングなどもチェック

■管理会社を利用するメリット・デメリット

【メリット】

・定期的な巡回や報告書で安心感が得られる
→ 月1~2回、物件を訪問して換気や通水、外観チェックなどを行い
  写真付きで報告してくれます。

・防犯・災害リスクへの対応
→ 異常があれば連絡が入り、状況によっては修繕や緊急対応の依頼が可能。

・近隣トラブルの未然防止
→ 雑草やゴミの放置による苦情を防げるため、近隣関係の悪化を防ぎます。

・将来の活用に向けた相談がしやすくなる
→ 賃貸や売却の相談ができる管理会社もあります。

【デメリット】

・月額費用(5.000円~15.000円/月程度)が発生
→長期間になるとトータルで大きな支出になる。

・サービス内容に差がある
→ 見回りだけの簡易的なものから、敷地内や室内の清掃や建物内の点検、
  ポスト整理など本格的なプランまで行う会社もあり、質や内容に大きな
  差がある。

・緊急対応に追加料金がかかることがある
→ 通常の契約外の対応となり別途請求が発生することがある。

・トラブル発生時にすぐに駆けつける体制がない場合もある
→ 緊急連絡先を設けている会社もありますが、24時間365日対応しているとは
  限りません。

サービス内容や、対応頻度の認識の違いでトラブルになるケースもあります。
契約書をよく確認することが大切です。

■管理会社を選ぶ時のポイント
・管理実績があるか(空き家管理専門or一般住宅管理)
・地域密着型か全国展開か(遠方でも対応してくれるか)
・いずれ売却、賃貸を視野に入れて相談できるか
・料金体系が明確化か

■委託をするかどうかの判断ポイント
・実家が遠方にある/家族が忙しくて通えない
・空き家状態が1年以上続く見込み
・災害や防犯への不安がある
・近隣との関係を悪化させたくない
・将来的に「住む」「貸す」「売る」の方向性はまだ未定
上記に当てはまる方は、月数千円で安心を得られる「空き家管理委託」は
現実的な選択と言えるでしょう。

おわりに :実家のこれからに向き合うために

親御さんの施設入所はご家族にとって生活の変化とともに、「実家のこれから」を考える大きなタイミングです。
実家の行く末には、売却・賃貸・管理・保留という複数の選択肢があります。
正解は1つではありません。
まずは現状を整理する。
次に家族と話し合う
必要なら専門家に相談する。
そうすることで、実家が不安の種から安心できる資産へと変わっていくはずです。

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