1. はじめに
春は気温と湿度が上昇し、降雨量も徐々に増える季節です。
一見、気候が穏やかに思えるこの時期ですが、実は空き家にとって最もトラブルが起きやすいシーズンでもあります。
冬の間に見逃された建物の傷みや劣化が、春の気候によって一気に顕在化します。例えば、屋根や外壁のヒビ割れ、床下の湿気による腐食、換気不足によるカビや害虫の繁殖などが起こりやすくなります。さらに、暖かくなることで草木や雑草が急成長し、害虫や動物の発生、不法投棄など、空き家に関連するさまざまな問題が一気に表面化します。
特に春に多発しやすい空き家トラブルは、次のようなものです。
- 害虫・害獣の発生(シロアリ、ハクビシン、ネズミなど)
- 雑草の繁茂と景観の悪化
- 建物の劣化と倒壊リスク
- 不法投棄・不法侵入による被害
- 近隣住民とのトラブル(苦情、景観問題など)
これらのトラブルは放置すればするほど深刻化し、修繕費用や対応コストが増加します。
しかし、春のうちに適切な点検と対策を行えば、比較的低コストで予防することが可能です。
この記事では、神奈川県内の空き家所有者の方に向けて、春に多発するトラブルの実例とその予防策、地域ごとの特有リスク、行政の支援制度、そして年間を通じた管理スケジュールをまとめました。
「まだ空き家を見に行っていない」「そろそろ何かしなきゃ…」という方は、今こそ第一歩を踏み出すタイミングです。

2. 春に多発する空き家トラブル 上位5選
春は空き家にさまざまな変化が生じやすい時期です。気候が穏やかで管理が後回しにされがちですが、実はこの時期に起こるトラブルを早期に発見・対策することが、年間を通じた管理の鍵となります。
ここでは、神奈川県内の空き家で春に特に多く見られる5つのトラブルを紹介します。
それぞれについて「主な問題点」「具体的な事例」「予防策」に分けて解説します。
① 害虫・害獣の発生
主な問題点
春はシロアリやハクビシンなどの害虫・害獣が活発になる季節です。
換気不足や床下の湿気が原因で、建物の内部に侵入・繁殖するケースが多く、柱や床を食い荒らされると修繕費が数十万円にのぼることもあります。
具体的な事例
- 床下にシロアリが発生し、被害箇所の修繕に約35万円かかった
- 屋根裏にハクビシンが住みつき、断熱材の交換や清掃に20万円以上の費用が発生
予防策
● 自分でできる対策
- 通風・換気を定期的に行う
- 建物周囲のゴミや植栽を除去して、侵入経路を防ぐ
- 床下の湿気対策(除湿剤や調湿材の設置)
● 専門家に依頼すべき対策
- 害虫駆除業者による点検と処理
- ハクビシン・ネズミなどの捕獲・防除サービス
- 木部への防蟻処理

▶ 詳細は 公益社団法人 日本しろあり対策協会
https://www.hakutaikyo.or.jp/ を参照
② 雑草の繁茂と景観悪化
主な問題点
春から初夏にかけては雑草の成長が著しく、放置するとあっという間に背丈を超えるレベルまで繁茂します。これにより、景観の悪化・害虫の発生・近隣からの苦情につながる可能性があります。
具体的な事例
- 雑草が隣地まで越境し、近隣住民とトラブルになった
- 背丈の高い雑草が増え、敷地内にゴミが投棄されやすくなった
予防策
● 自分でできる対策
- 月1回以上の草刈り・除草
- 雑草が繁茂しやすいエリアに防草シートを敷設
- 景観維持のための剪定・清掃
● 専門家に依頼すべき対策
- 造園業者による除草・植栽管理サービス
- 外構リフォーム(舗装、グラウンドカバーの設置など)

▶ 詳細は 神奈川県造園業協会
https://kanagawazoen.or.jp/
③ 建物の劣化と倒壊リスク
主な問題点
冬の間に生じた屋根や外壁のひび割れ、腐食などが春の降雨で進行します。
特に定期的な点検が行われていない建物は、気づかないうちに劣化が進み、最悪の場合は倒壊リスクも。
具体的な事例
- 雨どいの詰まりから外壁の内部腐食が進行し、大規模修繕に50万円以上かかった
- 屋根材の一部が飛散し、隣家に被害(修繕+賠償で約30万円)
予防策
● 自分でできる対策
- 屋根や外壁の目視チェック
- 雨どい・排水口の清掃
- 建物内部の通風・湿気除去
● 専門家に依頼すべき対策
- 建築士や住宅診断士による外装・耐震診断
- 屋根・外壁リフォーム業者へのメンテナンス依頼
- 木造住宅の耐震補強工事

▶ 詳細は 日本建築防災協会 https://www.kenchiku-bosai.or.jp/
④ 不法投棄・不法侵入
主な問題点
空き家は人の出入りが少ないため、ゴミの不法投棄や不審者の侵入が起きやすい環境です。特に住宅街の奥まった場所や人目につきにくい立地の空き家では、長期間発見されないケースも多く、悪化すると犯罪の温床となる恐れもあります。
具体的な事例
- 郊外の空き家の敷地に粗大ゴミが大量投棄され、撤去に15万円超の費用が発生
- 空き家に侵入者が長期間滞在し、水回りや電気設備の破損、清掃費用も含めて30万円以上の損害
予防策
● 自分でできる対策
- 門扉やポスト、庭などの管理を定期的に行うことで「管理されている」印象を与える
- 表札や貼り紙で「定期巡回中」などの表示を設置
- 夜間の防犯ライトやセンサーを設置
● 専門家に依頼すべき対策
- 空き家巡回管理サービス(写真付き報告など)
- 防犯カメラ・遠隔監視システムの導入
- 鍵交換、防犯フィルムの施工などセキュリティ強化
▶ 詳細は 神奈川県警 防犯のポイント https://www.police.pref.kanagawa.jp/kurashi/anzen_machi/mesd0095.html
⑤ 近隣住民とのトラブル
主な問題点
空き家は景観悪化・悪臭・騒音などの原因となる場合があり、近隣住民との関係悪化を招くこともあります。
特に空き家の放置期間が長いと、自治体への苦情や行政指導につながる可能性もあるため注意が必要です。
具体的な事例
- 雑草や庭木が越境し、隣家の敷地を侵害してトラブルに発展
- 害虫の発生や不法侵入者に関して、近隣住民から自治体への苦情が寄せられ、行政から所有者へ是正指導が入った
予防策
● 自分でできる対策
- 雑草・庭木の越境防止(定期的な剪定と境界確認)
- ポストや玄関周りの清掃
- 近隣住民への挨拶・連絡先の共有
● 専門家に依頼すべき対策
- 庭木管理・外構清掃を含む定期管理サービス
- 境界確認や測量が必要な場合は土地家屋調査士への依頼
- 管理委託を通じて「管理不全」認定を避ける取り組み
▶ 詳細は 横浜市 建築局 空き家対策
https://www.city.yokohama.lg.jp/kurashi/sumai-kurashi/jutaku/sien/akiya/
これで「春に多発する空き家トラブル 上位5選」の解説が完了しました。次は神奈川県の地域特性に応じたリスクについて見ていきましょう。
3. 神奈川県の空き家特有のリスク
神奈川県は地形や気候の多様性により、エリアごとに異なる空き家リスクが存在します。
ここでは、特に注意が必要な地域別のリスクと、その予防策について解説します。
① 沿岸部(横浜市南部・鎌倉市・藤沢市・茅ヶ崎市など)
主なリスク:塩害と湿気による建材劣化
海風に含まれる塩分が建物の金属部分を腐食させ、外壁や屋根の早期劣化を引き起こす原因となります。
また、湿気が多くカビや害虫の繁殖リスクも高いため、換気不足の空き家では被害が深刻化しやすい傾向があります。
● 予防策
- 屋根や外壁の塩害コーティング塗装
- 金属部材(門扉・手すりなど)の定期洗浄・点検
- 通気口や床下換気の確保、除湿材の設置
▶ 詳細:
神奈川県の土砂災害警戒区域・ハザードマップ
https://www.pref.kanagawa.jp/docs/jy2/hazard-map/index.html
② 丘陵地・山間部(横浜市青葉区・旭区、鎌倉市北部、相模原市など)
主なリスク:土砂災害や湿気による構造ダメージ
春先は降雨量の増加とともに、地盤の緩みや斜面崩壊による被害リスクが高まります。
また、谷間の土地では空気の流れが悪くなり、湿気がこもることで木材腐食やカビ被害につながることもあります。
● 予防策
- 敷地周辺の斜面・法面の安定状態を定期チェック
- 雨どいや排水口の詰まり除去
- 床下の防湿対策(シート施工や通気改善)
▶ 補足:神奈川県ではエリア別の土砂災害危険箇所が地図化されています。
→ 土砂災害警戒区域マップ(神奈川県)
https://dosyasaigai.pref.kanagawa.jp/php/map.php?mapmode=kuiki
③ 都市部(横浜市中区・西区、川崎市、相模原市中央区など)
主なリスク:不法侵入・不法投棄・景観トラブル
人口密集地では、空き家が目立つ存在となりやすく、放置されている印象が強くなることで防犯リスクが高まります。
また、景観への悪影響や近隣住民からの苦情によって、行政から指導が入るケースもあります。
● 予防策
- 定期的な清掃と植栽管理による「管理されている」印象づけ
- 防犯カメラ・人感ライトの設置による威嚇効果
- 管理看板や連絡先の掲示、自治会との連携
▶ 詳細:
神奈川 空き家防犯対策
https://www.pref.kanagawa.jp/docs/f5g/anan/ad/index.html
このように、神奈川県では地形や地域によってトラブルの傾向が異なるため、所有する空き家の立地に応じた対策が必要です。
4. 神奈川県の空き家対策支援制度
空き家管理には、一定の手間やコストがかかります。
しかし、神奈川県内の自治体では所有者を支援するための制度が複数用意されています。
このセクションでは、代表的な支援制度とその活用方法を紹介します。
① 横浜市:住宅除却補助制度
- 概要:耐震性が不足する木造住宅などの除却費用を補助
- 補助金額:
課税世帯…最大20万円
非課税世帯…最大40万円 - 申請条件:
・旧耐震基準(昭和56年5月以前)で建てられた住宅
・除却後の活用計画が明確であること 等 - 詳細ページ:
横浜市住宅除却補助制度 https://www.city.yokohama.lg.jp/business/bunyabetsu/kenchiku/bosai/taishin/hojokinshienseido/mokutai/jyuutakujyokyaku.html
② 川崎市:住宅等不燃化推進事業
- 概要:不燃化重点対策地区における老朽建築物の解体や耐火性能強化を支援
- 補助金額:
・除却工事:最大100万円
・耐火建築の新築・改修:最大200万円 - 申請条件:
・対象区域に所在する老朽木造住宅等
・市の定める技術要件に適合すること 等 - 詳細ページ:
川崎市住宅等不燃化推進事業 https://www.city.kawasaki.jp/500/page/0000018063.html
③ 神奈川県内各市町村:空き家バンク制度
- 概要:空き家の売却・賃貸を希望する所有者と、利用希望者をマッチングする制度
- 対象自治体例:
横須賀市、厚木市、秦野市、伊勢原市、小田原市など(2025年3月時点) - メリット:
・空き家の有効活用が可能
・移住希望者への支援や補助制度と組み合わせ可能 - 詳細ページ:
神奈川県 空き家バンク一覧 https://www.pref.kanagawa.jp/docs/y2w/shienjoho.html
④ 無料の空き家相談会(市町村・県主催)
- 概要:空き家の管理・活用・相続などに関する相談ができる窓口を定期開催
- 対象内容:
・管理方法、法的手続き、税金相談など - 申込方法:自治体公式サイトまたは電話予約
- 補足:横浜市・川崎市・相模原市などでは月1回程度開催
注意事項
※各制度の内容や補助金額は変更される可能性があります。
最新情報は各自治体の公式サイトでご確認ください。(情報は2025年3月時点のものです)
これらの支援制度をうまく活用することで、空き家管理の負担を大幅に軽減し、安全で安心な状態を保つことが可能になります。
5. まとめと年間スケジュール
春は空き家管理にとって最も重要なスタートの季節です。
この時期にしっかりと点検・対策を行っておくことで、年間を通じたトラブルの多くを未然に防ぐことができます。
【春に多発する空き家トラブル 5選の復習】
- 害虫・害獣の発生:床下や屋根裏に侵入、建物の腐食・悪臭被害
- 雑草の繁茂と景観悪化:苦情やゴミの不法投棄を招きやすい
- 建物の劣化と倒壊リスク:屋根や外壁の見えない損傷が進行
- 不法投棄・不法侵入:防犯対策不足の空き家は犯罪の温床に
- 近隣住民とのトラブル:越境や景観悪化が苦情・行政指導につながる
【空き家管理 年間スケジュール(神奈川県版)】
空き家は季節ごとにリスクが異なるため、年間を通じた計画的な管理が重要です。
以下は神奈川県の気候特性に合わせた管理スケジュールの一例です。
春(3〜5月)
- 3月:冬のダメージ点検、室内換気、不要物の撤去
- 4月:雑草・害虫の発生対策、雨どいの清掃
- 5月:梅雨前の外装チェック、庭木の剪定、通風確認
夏(6〜8月)
- 6月:湿気・カビ対策(除湿器・調湿材の導入)
- 7月:防犯対策の強化(鍵、照明、巡回依頼)
- 8月:草刈り、外構の安全確認
秋(9〜11月)
- 9月:台風前の屋根・外壁・排水路の点検
- 10月:落ち葉清掃、防火・耐震チェック
- 11月:年末前の簡易清掃とごみ処分
冬(12〜2月)
- 12月:凍結対策(水抜き、断熱材の確認)
- 1月:積雪・結露による構造チェック
- 2月:春に向けた点検予定の計画作成
【記事の総まとめ】
- 春は空き家トラブルが集中する要注意の季節
- 5つのトラブルは早期の点検・予防でコストと手間を抑えられる
- 神奈川県には支援制度や相談窓口も整備されている
- 年間を通じた管理スケジュールを立てることで、長期的に安全・安心な空き家管理が可能
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