実家が空き家になってしまい管理にお困りではありませんか?
遠方に住んでいる、時間がないなど、理由はさまざまですが、放置すると様々なリスクが生じます。
この記事では、空き家管理の必要性から、自分でできる対策、管理サービスの選び方までを
詳しく解説します。
空き家管理はなぜ必要?放置のリスクを知る
空き家放置が招く5つのリスク
空き家を放置することは、想像以上に多くのリスクを伴いま。これらのリスクを理解することは、
適切な管理方法を選択するための第一歩となります。
①建物の劣化が急速に進む
人が住まなくなった建物は、想像以上のスピードで傷んでいきます。雨風にさらされ、
点検やメンテナンスが行われないことで、屋根の破損や外壁のひび割れ、雨漏りなどが
進行します。放置期間が長くなるほど修繕範囲は広がり、結果として修繕費用が
高額になる傾向があります。
②不法侵入・不法占拠のリスク
管理されていない空き家は、「誰も見ていない家」と判断されやすく、不法侵入や不法占拠の
標的になりやすい状態です。建物内への侵入や物品の盗難だけでなく、一度不法に使用
されてしまうと、元の状態に戻すまでに時間と手間がかかるケースもあります。
③犯罪・放火などの危険性
空き家は放火の対象になりやすい点も大きなリスクです。
また、場合によっては犯罪の拠点として利用されてしまうこともあり、
地域全体の治安悪化につながる恐れがあります。空き家の問題は所有者だけの問題
だけではなく、周囲の安全にも影響を及ぼします。
④近隣住民とのトラブル
雑草の繁茂や害虫の発生、ゴミの不法投棄、悪臭などは近隣住民にとって
大きなストレスになります。
苦情が寄せられるだけでなく、状況によってはトラブルや訴訟に発展する可能性もあり、
関係悪化を招く原因となります。
⑤特定空家・管理不全空家への指定
管理が行き届いていない状態が続くと、行政から「管理不全空家」や、
「特定空家」に指定される可能性があります。指定を受けると、固定資産税の
住宅用地特例が解除され、税負担が大きく増えるなど、経済的なデメリットも発生します。
具体的な事例としては、ある地域では、放置された空き家に不法投棄が頻発し、景観を損ねる
だけでなく、悪臭や衛生問題を引き起こしました。また、別の地域では、空き家が放火され、
近隣住民が避難する事態となりました。これらの事例は、空き家放置のリスクを具体的に
示しています。
特定空家とは?指定されるとどうなる?
「特定空家(一般に『特定空き家』と呼ばれます)」とは、空家対策特別措置法に基づき、
市区町村が指定する管理不全の状態にある空き家のことです。
具体的には倒壊の危険性がある、衛生上有害となる恐れがある、景観を著しく損なっている、
周辺の生活環境に悪影響を及ぼしているといった状態の空き家が対象となります。
特定空家に指定されると様々なデメリットが発生します。まず、固定資産税の住宅用地特例が適用
されなくなり、固定資産税が最大で6倍になる可能性があります。
これは、空き家の所有者にとって大きな経済的負担となります。さらに、市区町村から改善命令が
出されることがあります。改善命令に従わない場合、50万円以下の過料が課せられる可能性が
あります。また、行政代執行により強制的に解体されることもあります。この場合、解体費用は
所有者が負担しなければなりません。特定空家に指定されることは、空き家の所有者にとって
非常に大きな不利益となるため、指定されないように適切な管理を行うことが重要です。
特定空き家の定義は以下の4つの状態に該当する空き家と定められています。
①そのまま放置すれば倒壊等著しく保安上危険となるおそれのある状態
②そのまま放置すれば衛生上有害となるれのある状態
③適切な管理が行われていないため、著しく景観を損なっている状態
④その他、周辺の生活環境の保全を図るため放置することが不適切である状態
これらの状態に該当すると判断された場合、特定空家に指定される可能性があります。
指定を回避するためには、定期的なメンテナンス、清掃、除草などを行い、空き家を
良好な状態に保つことが重要です。また、近隣住民からの苦情や相談には、誠実に対応
することが大切です。
近隣住民とのトラブル事例と対策
空き家を放置していることで、近隣住民とのトラブルに発展するケースは決して少なくありません。
特に多いのが、雑草の繁茂による問題です。放置された空き家の庭は、あっという間に雑草が
生い茂り、見苦しいだけでなく、蚊やハエなどの害虫の発生源となることもあります。
これにより近隣住民の生活環境を悪化し、苦情につながることがあります。
雑草やゴミが増えると、害虫だけでなく害獣の温床にもなります。ネズミやゴキブリなどの
害獣は、家屋に浸入し、家財を食い荒らすだけでなく、感染症を媒介するリスクも
あります。

また、管理されていない空き家や空き地は、不法投棄の標的になりやすい傾向があります。
ゴミが捨てられると悪臭や景観悪化につながるだけでなく、放置されたゴミが放火の
原因になることもあり、非常に危険です。
これらのトラブルを未然に防ぐためには、定期的な管理が不可欠です。
・定期的な除草、庭の手入れ
・敷地内の建物周りの清掃
・害虫、害獣の早期対策
・防犯カメラやセンサーライトなどの防犯対策
特に、雑草が伸び始めた段階で除草を行う、害虫を見かけたら早めに駆除するなど迅速な対応が
トラブルの深刻化を防ぎます。空き家は放置すればするほどリスクが高まります。
さらに、防犯対策も重要です。空き家は不審者の侵入や不法行為の温床となる可能性があります。
防犯カメラの設置やセンサーライトの導入など、防犯対策を強化することで犯罪を抑止し、
近隣住民の不安を軽減することができます。
具体的な事例としては、ある地域では、空き家の雑草が原因で近隣住民から苦情が殺到し、
自治体が所有者に除草を指導する事態となりました。また、別の地域では、空き家に不法投棄された
ゴミが放火され、近隣住民が避難する騒ぎとなりました。これらの事例は、空き家管理の重要性を
改めて認識させてくれます。
実家の空き家管理: 自分でできること
定期的な換気と清掃
空き家を良好な状態に保つためには、定期的な換気と清掃が欠かせません。
換気は、室内の湿気を排出し、カビや結露の発生を防ぐ効果があります。
少なくとも月に一度は、窓を開けて十分な換気を行いましょう。
梅雨時期や夏場は、湿度が高くなりやすいため、こまめな換気を心がけることが重要です。
換気の際には、すべての窓を同時に開けることで、空気の流れを作り、効率的に換気することが
できます。また、換気扇や除湿機などを活用するのも効果的です。
清掃は、室内の汚れやホコリを取り除き、衛生的な環境を保つために重要です。
定期的に掃除機をかけたり、拭き掃除をしたりすることで、カビやダニの発生を抑えることが
できます。特に、水回り(キッチン、浴室、トイレなど)は、カビが発生しやすい場所なので、
念入りに清掃しましょう。
清掃の際には、市販のカビ取り剤や、除菌スプレーなどを活用するのも効果的です。
また、畳やカーペットは、ダニの温床となりやすいので、定期的に天日干ししたり、
ダニ駆除剤を使用したりするなどの対策が必要です。
換気と清掃を行う際には以下の点に注意しましょう。
- 換気を行う際は、防犯対策をしっかりと行うこと
- 清掃を行う際は、換気を十分に行い、マスクや手袋を着用すること
- 水回りなど、カビが発生しやすい場所は、念入りに清掃すること
- 畳やカーペットは、ダニ対策をしっかりとおこなうこと
これらの点に注意して、定期的な換気と清掃を行うことで、空き家を良好な状態に
保つことができます。

庭の手入れと防草対策
空き家の庭は、手入れを怠ると雑草が生い茂り、見苦しいだけでなく、害虫の発生源となること
もあります。定期的な草むしりや庭木の剪定は、見た目の印象を良くするだけでなく、害虫の
発生を防ぐ効果もあります。草むしりは、手作業で行うこともできますが、広範囲にわたる
場合は、草刈り機を使用すると効率的です。草刈り機を使用する際は、安全に注意し、
保護メガネや手袋を着用しましょう。庭木の剪定は、庭木の成長を調整し、美しい樹形を
保つために重要です。剪定を行う際は、庭木の種類や特性に合わせて、適切な方法で行い
ましょう。
剪定の方法がわからない場合は、専門業者に依頼するのも一つの方法です。
防草対策は、雑草の繁茂を抑え、草むしりの手間を軽減するために有効です。
防草シートを敷いたり、除草剤を散布したりするなどの方法があります。
防草シートは、地面を覆うことで、雑草の種子が発芽するのを防ぎます。除草剤は、雑草
を枯らす効果がありますが、使用する際は、周囲の植物や環境に配慮し、定期な方法で
仕様しましょう。庭の手入れと防草対策を行う際には、以下の点に注意しましょう。
- 草むしりや庭木の剪定を行う際は、安全に注意すること
- 除草剤を使用する際は周囲の植物や環境に配慮すること
- 定期的に手入れを行うことで、庭を良好な状態に保つこと
これらの点に注意して、庭の手入れと防草対策を行うことで、空き家の外観を美しく保ち、
近隣住民からの苦情を防ぐことができます。

郵便物の整理と防犯対策
空き家の防犯対策で意外と見落とされがちなのが、郵便受けの状態です。
郵便物やチラシが溜まったままになっていると「この家は誰も管理していない」と
周囲に知らせてしまうサインになり、不審者を引き寄せる原因になります。
定期的に郵便物を整理し不要なチラシやDMなどを処分することが重要です。
郵便物の確認や整理は、最低でも月に1回は行いましょう。
不要なチラシやDMはその場で処分し、重要な郵便物だけを持ち帰るようにします。
あわせて、
・郵便受けに鍵をかけたり、郵便物の転送サービスを利用したりする
・防犯カメラやセンサーライトを設置すること
・窓やドアに防犯フィルムを貼ったり、補助錠を取り付けたりすること
・近隣住民との連携を密にすること
これらの点に注意して、郵便物の整理と防犯対策を行うことで、空き家を安全に保ち、
犯罪のリスクを軽減することができます。
空き家管理サービスという選択肢
空き家管理サービスとは?サービス内容と料金相場
空き家管理サービスとは、空き家の所有者に代わって、建物や敷地の管理を行ってくれる
サービスのことです。
「気にはなっているけど、なかなか見に行けない」そんな空き家を、定期的に見守ってくれるのが
空き家管理サービスです。サービス内容は会社ごとに違いますが、基本的なサービスとしては、
【定期的な巡回、清掃】【庭の手入れ】【郵便物の整理・回収】【防犯対策】など多岐にわたります。
定期的な巡回では、空き家の内外を点検し、異常がないかを確認します。
例えば、雨漏り、設備の故障、不法侵入などの兆候がないかをチェックします。
清掃では室内の清掃や庭の清掃を行い、空き家を清潔な状態に保ちます。庭の手入れでは、
草むしりや庭木の剪定を行い、空き家の外観を美しく保ちます。郵便物の整理では
郵便受けに溜まった郵便物を整理し、不要なチラシやDMなどを処分します。防犯対策では、
防犯カメラの設置やセンサーライトの導入などを行い、空き家を犯罪から守ります。
空き家管理サービスの料金相場は、サービス内容や空き家の規模によって異なりますが、
一般的には月額数千円から数万円程度です。例えば、定期的な巡回のみを行うサービスであれば、
月数千円程度で利用できますが、清掃や庭の手入れなど含むフルパッケージのサービスであれば、
月額数万円かかる場合があります。空き家管理サービスを選ぶ際には、サービス内容と料金を比較
検討し自分のニーズに合ったサービスを選ぶことが重要です。
また、複数の業者から見積もりを取り、料金やサービス内容を比較検討することも大切です。
空き家管理サービスを利用することで、手間を省きながら、空き家を良好な状態に保つことが
できます。
空き家管理サービスのメリット・デメリット
空き家管理サービスを利用することには、多くのメリットがありますが、デメリットも存在します。
メリットとしては、手間が省けるという点です。空き家の管理は、時間と労力がかかる作業ですが、
空き家管理サービスを利用すれば、これらの管理を代行してもうらことができ、そこにかかる
時間や労力を他に費やすことができます。また、専門的な管理を受けられるという点も
メリットです。空き家管理業者は、空き家管理の専門知識やノウハウをもっており、
適切な管理を行ってくれます。

一方、デメリットとしてはまず費用が掛かるという点が挙げられます。
空き家管理サービスを利用するということは、一定の費用がかかってきます。
しかし、空き家を放置することで発生するリスクを考えると、費用対効果は高いと
言えるでしょう。空き家管理サービスを利用する際には、メリットとデメリットを比較検討し、
自分に合った選択をすることが重要です。
自分で管理する時間がない場合などは、管理サービスを利用する方がメリットが大きいと
言えます。また、空き家の状態が悪く、専門的な管理が必要な場合も、管理サービスの
利用を検討する価値があります。
後悔しないために:空き家管理のヒント
空き家活用、売却、賃貸…将来の選択制を考える
空き家を放置するだけでなく、活用、売却、賃貸など、さまざまな選択肢があります。
それぞれのメリット・デメリットを理解し、将来を見据えた計画を立てることが重要です。
空き家を活用する場合、たとえばDIYでリフォームして趣味のスペースにしたり、
シェアハウスとして活用したり、民泊として活用したりするなどの方法があります。
これらの方法は、空き家を有効活用し、収入を得ることもできます。しかしリフォーム費用や
運営費用がかかるというデメリットもあります。
空き家を売却する場合、まとまった資金を得ることができます。しかし、売却価格が
相場よりも安くなる可能性があるというデメリットもあります。
空き家を賃貸する場合、安定的な収入を得ることができますが、入居者の募集や、
管理などの手間がかかるというデメリットもあります。
それぞれの選択肢には、メリットとデメリットがあるため、自分の状況やニーズに合わせて、
最適な選択肢を選ぶことが重要です。空き家を放置することは、さまざまなリスクを伴うため、
早めに将来の選択肢を検討し計画を立てることが大切です。
専門家への相談も検討を
空き家問題は、法律、税金、不動産などさまざまな専門分野が関わるため、個人だけで解決
しようとすると難しいケースも少なくありません。状況に応じて、弁護士や税理士、
不動産鑑定士といった専門家への相談も検討しましょう。
例えば、相続や名義変更、近隣住民とのトラブルなど、法律が関係する問題については、
弁護士が心強い存在になります。固定資産税や相続税など、税金面での悩みがある場合は、
税理士に相談することで、適切な節税対策や手続きのアドバイスを受けることができます。
また、空き家の売却や賃貸を検討している場合には、不動産鑑定士に相談することで、建物や
土地の価格を正しく把握し、適正な価格設定につなげることが可能です。
専門家に相談することで、自分では判断が難しい問題を整理できるだけでなく、
より良い解決策を見つけやすくなります。相談の際は、あらかじめ悩みや目的を
明確にし関係書類を準備しておくと、スムーズに話を進めることができます。
また、一人の意見に頼るのではなく、複数の専門家の意見を聞き、比較検討をすることも
重要です。
まとめ:実家を適切に管理し、安心できる生活を
空き家管理は、「そのうちなんとかしよう」と放置してしまうと、思わぬトラブルに
つながりやすいものです。建物の劣化や防犯面の不安、近隣トラブル、さらには「特定空家」に
指定されるなど、さまざまなリスクを抱えることになります。こうした問題を防ぐためには、
定期的な換気や清掃、庭の手入れ、防犯対策など、日ごろの管理が欠かせません。
ご自身で管理が難しい場合は、空き家管理サービスを活用することで、手間をかけずに良好な
状態を保つことができます。また将来的には活用・売却・賃貸といった選択肢も視野に入れ、
状況に応じた判断をすることが大切です。
空き家を適切に管理することは、ご自身やご家族だけでなく、地域の安心にもつながります。
今できる対策から、少しずつ始めていきましょう。
