増え続ける空き家_今知っておきたい現実とは

最近「あの家、誰も住んでいないみたい」と感じることはありませんか?
それもそのはず、いま日本ではおよそ7戸に1戸が空き家という時代に入っています。

空き家が増えることで、建物の倒壊や景観の悪化だけでなく、放火や不法侵入といった
犯罪のリスクも高まります。こうした問題は、空き家一軒だけの問題ではなく、
地域全体の安心・安全にも影響を及ぼしかねません。

この記事では、空き家問題がなぜここまで深刻になっているのか、その背景と
私たちにできる“ちょっとした備え”についてわかりやすくご紹介します。

目次

空き家問題の現状_なぜ今深刻化しているのか

そもそも「空き家」とは?定義と種類

空き家とは一般的に長期間にわたって人が住んでいない、または使われていない建物の事を指します。
しかし、その定義は法律や自治体によっても異なり、明確な基準が存在しない場合もあります。
例えば、電気・ガス・水道などのライフラインが停止している、郵便物が滞留している、管理が
行き届いておらず荒廃しているなどの状態が空き家と判断される目安となります。

空き家の種類もさまざまで、

・相続後に使われずに残っている住宅
・転勤や入院などで一時的に不在となっている住宅
・取り壊し予定だが、放置されている住宅
…などがあります。

また、別荘やセカンドハウスとして利用されていたが、所有者の高齢化や、
利用頻度の低下により放置されているケースもあります。

こうした空き家は、放置期間や建物の状態によって、周辺環境に悪影響を及ぼす可能性があり、
適切な管理や活用が求められます。

増え続ける空き家。数字が語る深刻な現実

日本の空き家率は年々増加の一途を辿っており、深刻な社会問題となっています。
総務省の調査では、令和5年において空き家率が13.8%となり、前年の2018年の
13.6%から0.2ポイント上昇し、過去最高を更新しました。
さらに空き家の中でも「居住目的のない空き家(賃貸用・売却用・別荘などを除いた
放置空き家)」は385.6万戸にものぼり、2018年の348.7万戸からプラス36.9万戸に増えました。
これは、わずか5年で約10.6%増加している計算になります。

空き家問題の深刻さは、数値のデータでも明らかです。
このまま放置すれば、さらに空き家が増加し、地域社会に深刻な影響を与えることが懸念されます。

空き家放置によりリスク~社会地域への影響

空き家を放置することは、見過ごせないリスクを伴います。
その影響は家の持ち主だけでなく、周囲の住民や地域全体にも及びます。


・治安の悪化
老朽化した建物は火災が発生しやすく、周辺の住宅に延焼する危険性もあります。
また、手入れが行き届いてないことで草木が生い茂り、不法侵入や不審火などの
温床にもなりかねません。

・衛生環境の悪化
ネズミや害虫の住処になったり、ごみの不法投棄など対象になることもあります。
これにより近隣住民の生活環境や衛生状態に悪影響を及ぼします。

・倒壊のリスク
老朽化した空き家は地震・台風などの自然災害によって倒壊する危険性があり、
通行人や近隣住民に危害を加える可能性もあります。

こうしたリスクは、地域の資産価値や、住みやすさを下げてしまうため、空き家管理は地域全体で
向き合うべき課題といえます。

空き家問題の背景にある”社会の変化”

人口の減少と高齢化

空き家問題の根本的な原因として、人口減少と高齢化が挙げられます。
日本では、少子高齢化が急速に進んでおり、特に地方では人口減少が深刻化しています。
高齢の親が亡くなった後、子供がその家に戻らず、空き家になるケースが増えています。
また、高齢者は、住宅の維持管理が難しく、空き家として放置されることも少なくありません。

人口の減少と高齢化は日本の社会構造に大きな変化をもたらし、空き家問題の解決を
困難にしています。

相続問題

相続の問題は空き家放置の大きな要因の一つです。
親が亡くなり、実家を相続したものの、相続人が複数人いたり、相続手続きが煩雑だったりと、
さまざまな理由で空き家が放置されてしまうケースが多くみられます。
さらに空き家を相続しても固定資産税など、維持費が重くのしかかり、「とりあえず放置」と
なってしまうことも少なくありません。

建物の老朽化

老朽化が進んだ住宅は、修繕や維持に多額の費用がかかるため、所有者が対応を
先延ばしにし、そのまま空き家として放置されるケースが少なくありません。
特に長期間放置された空き家では、屋根や外壁、基礎部分の傷みが深刻化し、倒壊や
壁材の落下など、近隣住宅や通行人への被害リスクが高まることもあります。

もしかしたら将来関わるかも?空き家との向き合い方

空き家の問題は、行政や地域だけが考えるべきものではありません。
空き家を【持つ側】【見る側】【地域で暮らす側】など、立場によって関わり方は違っていても、
私たちひとり一人が”知っておくだけ”でも、将来の選択肢が変わってくることがあります。
ここでは「もし、自分が空き家に関わるとしたら」知っておきたい、いくつかのポイントを
ご紹介します。

空き家バンクの活用

空き家バンクとは、空き家の情報を公開し、活用希望者とのマッチングを支援する制度です。

自治体が運営している場合が多く、空き家の所有者と利用希望者を繋ぐ役割を果たして
います。空き家バンクを活用するメリットは、空き家の所有者にとっては、有効活用できる
可能性が広がるという点です。
また、利用希望者にとっては、希望にあった空き家を見つけやすくなるという利点があります。

空き家のリフォーム

(古くなった実家をどうするか。)(いずれ戻るかもしれないが、今は使ってない。)など、
空き家に関する悩みは人それぞれです。

最近では、古民家をカフェやシェアハウスに変えるなど、空き家を生かすアイディアも
増えています。
リフォームによって、老朽化した建物を再生させ、地域活性化に貢献することができます。

行政の支援制度を知っておく

多くの自治体では、空き家の解体費用や、リフォーム費用の補助をしてくる制度があります。
これらの支援制度を活用することで、空き家の所有者にとって経済的な負担を軽減する
効果があります。

【一例】

・藤沢市・・・空き家利活用事業補助金

・秦野市…適正管理促進補助金(片付け・伐採)・活用促進補助金(リフォーム)

・厚木市…老朽空き家解体工事補助金

管理が難しいときは、プロのサービスにお任せを!

空き家を所有しているが、遠方に住んでいる等の理由で管理が難しい場合に
心強いのが『空き家管理サービス』の存在です。

空き家を定期的に巡回し、外観・屋根・外壁・雨どいなどの点検をはじめ、郵便物の整理や
敷地内の簡易清掃、通風・通水といった作業を行います。
これにより、空き家の劣化を抑え、資産価値を維持できるのはもちろんのこと、「人の手が入っている」という状況をつくることで、空き巣や不法侵入の防止にもつながります。

また、弊社では定期報告を写真付きでご提出するなど、遠方にお住まいの方でも安心してご利用
いただける体制を整えています。

「使っていないけれど、大切な家」。
その価値を守るために、ぜひプロの手もご活用ください。

空き家の現状を知ることが、将来の備えに

空き家問題は一部の人だけの話ではなく、これからは多くの方が無関係ではいられないテーマです。
・親の家をどうするか、そろそろ考える時期かもしれない
・最近近所に空き家が増えた気がする
・いずれ自分も誰かに家を託すかもしれない

こうしたちょっとした関心から、空き家の現状を知ることで、”いつか”に備える一歩を踏み出す
事ができます。

目次